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断熱等級4について解説。その他の認定基準も紹介します。

2023.07.05 2023.12.25
断熱等級4について

住宅の性能の指標に「断熱性能等級」というものがあります。断熱等級と略されることが多く、文字通り断熱性能を表す国土交通省が定めている指標のひとつです。

断熱等級は、近年の住宅性能の向上に合わせて上限が拡大されたことや、住宅性能に関する指標が増えたこともあり、目指すべき基準がわかりにくくなっています。

この記事では、断熱等級やその他の基準について解説し、その上で目指すべき基準について解説します。

断熱性能等級とは

断熱性能等級とは何か、等級の違いや設定の根拠について解説します。

断熱等級とは何か(※1)

断熱等性能等級とは、国土交通省が定めた住宅性能表示制度に則った評価基準の一つです。

主に新築住宅に対して当てはめられる基準で、外皮(外壁、窓など)の断熱性能、冷房期に日射を遮蔽する対策など、住宅外皮の省エネ性能について評価をしています。

現在、断熱等性能等級は等級が1〜7まで定められています。等級1〜5は一戸建ての住宅または共同住宅等に、等級6・7は一戸建て住宅のみに適用されています。

断熱等級の等級の違いは「Ua値(外皮平均熱貫流率)」という外皮を介してどれだけ熱が逃げるかを数値化した指標と、 「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」という太陽日射の室内への入りやすさにを数値化した指標によって決められています。

それぞれ数字が小さいほど性能が高いことを表し、断熱等級は高くなります。

Ua値について詳しくは関連記事「 Ua値の基準|計算方法や推奨値・Ua値を下げる方法も」をご覧ください。
また、断熱等級6,7については関連記事「【最新版】断熱等性能等級とは?新設された等級6~7もあわせて解説」でも解説しているのでご覧ください。

(※1)国土交通省『住宅性能表示制度における省エネ性能に関わる上位等級の創設』

断熱等級4とは(※1)(※2)

断熱性能等級4は、2022年10月の上位等級の新設までは、断熱性能等級の中でも最高等級でした。

等級4は「熱損失等の大きな削減のための対策(建築物エネルギー消費性能基準等を 定める省令に定める建築物エネルギー消費性能基準に相当する程度)が講じられている」戸建ての住宅または共同住宅等に表示を適用することができます。

具体的な基準としては、「H25年省エネ基準の外皮性能相当」のUa値が要求されています。
たとえば、東京23区は地域6に該当し、外皮平均熱貫流率(UA) が0.87 W/㎡K、 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)の基準値が2.8以下であることが求められます。
断熱性を高めるために、断熱材の施工や開口部の高性能化により断熱性や気密性の向上が必要となります。

建築物省エネ法の改正により、2025年4月以降は、全ての新築住宅・非住宅に対して省エネ基準(=断熱性能等級4)の適合が義務付けられます。

すなわち、今後は断熱等級4が新築の建築物のスタンダードになります。

断熱等級4とは

(※1)国土交通省『住宅性能表示制度における省エネ性能に関わる上位等級の創設』
(※2)国土交通省住宅局『住宅・建築物の省エネルギー基準 「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」平成25年改正のポイント』

断熱性能等級以外の認定基準

断熱性能等級以外にも、省エネに関わる認定基準があります。

いずれも新築住宅に限らず、リフォームやリノベーションにおいても適用可能です。

HEAT20(G1/G2/G3)

省庁ではなく、有志の研究者、住宅・建材生産者によって2020年に発足された「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会 」が定める断熱性能の指標です。

海外と比較した際の日本の断熱性能の低さを懸念し、省庁が設けるZEH基準よりも高い基準が設定されており、G1・G2・G3と数字が大きくなるにつれてより高い性能であることを表しています。

HEAT20は一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会が主体となり、住宅の該当ランクの「住宅システム認証」を行なっていますが、HEAT20の認定自体が行政の補助金や税制優遇に適用されませんのでご注意ください。

HEAT20については関連記事「 HEAT20とは?水準や認証の概要・対応住宅を選ぶメリット」にて詳しく解説しているのでご覧ください。

ZEH、ZEH+(※3)

ZEHとは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語で、エネルギー収支をゼロ以下にする家という意味です。

認定の基準としては、地域ごとに一定のUa値を満たすこと、強化外皮基準という建物の壁・断熱材などを含めた外皮の断熱性能を判断する基準を一定以上満たすこと、石油や天然ガスなどから得られる基準一次エネルギー消費量を20%以上削減すること、太陽光発電など再生可能エネルギーを得る設備の導入などが認定の条件となります。

断熱等級5の認定基準として、ZEH基準相当のUa値であることが設定されています。

また、ZEH基準を満たした住宅であることで、補助金や住宅ローンの金利において優遇されるケースもあります。

ZEH+は、ZEHの条件を満たした上で、より高度な省エネルギー性の実現や、自家発電等によるエネルギーマネジメントが求められます。

(※3)経済産業省資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~新しい省エネの家「ZEH」』

長期優良住宅の認定制度(※4)

長期優良住宅認定制度 は、住宅を長期にわたり良好な状態で使用することを目的とした認定制度です。

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、耐震やバリアフリー、可変性などの維持保全の観点で認定を行います。

長期優良住宅は認定のための性能項目が複数にわたり、コストがかかりますが、住宅ローン減税や登録免許税の優遇措置を受けることができます。
後述の低炭素建築物認定制度に比べてより優遇されており、金融機関によっては住宅ローンの金利優遇も行われます。

ちなみに新築の長期優良住宅の断熱性能は、ZEH相当、つまり断熱性能等級5と同等のレベルを要求されます。

(※4)一般社団法人 住宅性能評価・表示協会『増築・改築版「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の長期優良住宅認定制度の概要について』

低炭素建築物認定制度(※5)

低炭素建築物とは、二酸化炭素の排出の抑制に資する建築物です。

平成24年12月施行「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」をもとに開始された制度が「低炭素建築物認定制度」で、所管行政庁(都道府県、市又は区)が認定を行います。

低炭素住宅に認定されると、住宅ローン減税や登録免許税の優遇措置を受けることができます。

低炭素建築物では、ZEH相当、断熱性能等級5と同等のレベルを要求されており、再生可能エネルギー利用設備の設置に加えて、複数ある項目の中からひとつ以上の選択項目を実施する必要があります。
メーカーや仕様によりますが、長期優良住宅は認定のための性能項目が多いのに対し、低炭素建築物認定政度では省エネに特化しているので、基準を満たすためのコストが比較的かかりにくいとされています。

(※5)一般社団法人 住宅性能評価・表示協会『低炭素建築物とは』

省エネ認定基準

今後のスタンダードとなる「断熱等級4」(※6)

前述の通り、建築物省エネ法の改正により、2025年4月以降は、全ての新築住宅・非住宅に対して省エネ基準(= 断熱等級4相当)の適合が義務付けられます。

平成4年省エネ基準の等級3以下の建築物は、2025年4月以降は建築不可になります。

(※6)国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について」

断熱等級5が必要かどうか

2022年の断熱性能等級5〜7の新設以降、現行の2023年の補助金制度では、新築住宅において断熱等級5(ZEH相当)以上の住宅が申請の対象となりました。

合わせて、長期優良住宅や低炭素住宅の認定基準も引き上げになり、2022年9月までは断熱等級4が認定基準でしたが、2022年10月以降は等級5相当が基準となりました。

既存住宅においては、断熱等級4でも補助金制度を利用できるケースもあります。

認定の取得による税制優遇や住宅ローンの金利優遇、補助金の利用等は非常に魅力的ですが、それぞれの基準を満たすためにはコストがかかります。
メーカーや仕様によってかかるコストが異なりますが、金額的に損がなく、メリットを享受できるかどうかをしっかり検討する必要がありそうです。

断熱等級を上げること、そのため施工を行うことのメリットとデメリットについては『断熱リフォームとは?中古マンションをもっとエコで快適にする方法』でまとめていますので、こちらを参照してください。

中古住宅の場合、断熱等級はわからないことも

中古住宅の場合、資料が残っていない限り、その住宅の断熱等級を知ることはできません。

一方で、断熱等級4・5などと同等のUa値を実現するリノベーションを行うことはできるため、認定は取らずとも、高い断熱性を持った住宅を手にいれることは可能です。

また断熱リフォームを行うこと、リノベーション済み物件を購入することに対する補助金制度は拡充しています。
中古住宅のリノベーションやリノベーション済みの物件を購入することで、物件購入のコストを抑えつつ、断熱性能の高い住宅を手に入れる方法もあります。

「エコキューブ」導入済みマンションで、手軽に断熱性能に優れた中古マンションを

エコキューブでフルリノベーション

断熱性の優れた住まいを求める方には、インテリックスの「エコキューブ」導入済みマンションがおすすめです。

インテリックスの「エコキューブ」導入済みマンションは、省エネリノベーション済みの中古マンションです。
エコキューブはUa値0.87以下で設計をしており、快適でエコな暮らしが実現できます。

その他のエコキューブの特長を少しだけ紹介します。

エコキューブの高い断熱効果とその仕組み

エコキューブでは、省エネ住宅設計支援ツール(主に【建もの燃費ナビ®︎】などの温熱計算ソフト)に、物件の立地や構造などの条件に合わせた独自基準を用いて施工前とリノベーション後の住戸エネルギー消費量や冷暖房費(冷房負荷26度、暖房負荷22度※エアコンのみで算出)のシミュレーションを行います。

この上で、無駄のない適切な断熱計画に沿ったリノベーションを行うので、リノベーション済みなのに快適でないといった心配がなく、必要以上の施工は行わないので、余分なコストがかかっていないことも特長のひとつです。

エコキューブでは先に述べた温熱計算シミュレーションをもとに内窓(樹脂サッシ)や断熱材を施すことで断熱性・気密性を高め、快適な居住空間を実現します。

さらに、高機能換気システムが新鮮な空気を常に室内に取り込み、換気フィルターが花粉や粉塵などの侵入を防ぐので、健康的な暮らしを求める方にもおすすめです。

インテリックスとは

インテリックスとは、リノベーションマンション事業を中心に、不動産の仕入れや企画、運営、販売、管理業務を担うリノベーション総合企業です。

1995年7月にマンション購入に、新築か中古しか選択肢がなかった市場に中古マンションリノベーションという、新しい市場を創造し、これまでに累計2万5千戸(2022年12月時点)の販売を行ってきました。

その中古マンションのリノベーションに更なる快適性を高め、省エネ化も実現する『エコキューブ』をグループ会社一体として開発しました。

断熱等級4は今後のスタンダードに。それ以上は必要な分の断熱性能を。

断熱等級4が今後の新築住宅のスタンダードになっていく中、先立って断熱等級5以上の住まいに対し補助金制度や税制優遇の適用が始まりました。

一方で断熱性能の高い住宅にするにはコストがかかるため、補助金制度や税制優遇を利用したするために認定を取得するか、認定基準にあわせた住まいにするかどうか検討が必要です。

インテリックスの「エコキューブ」導入済みマンションでは、Ua値0.87以下で設計したリノベーションを施しており、十分な断熱性能を有しています。
またリノベーション済みのため、資金計画の検討もしやすいことが特長です。

ご興味のある方は、HPよりお問い合わせください。

参考文献

(※1)国土交通省『住宅性能表示制度における省エネ性能に関わる上位等級の創設』
(※2)国土交通省住宅局『住宅・建築物の省エネルギー基準 「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」平成25年改正のポイント』
(※3)経済産業省資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~新しい省エネの家「ZEH」』
(※4)一般社団法人 住宅性能評価・表示協会『増築・改築版「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の長期優良住宅認定制度の概要について』
(※5)一般社団法人 住宅性能評価・表示協会『低炭素建築物とは』
(※6)国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について」