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省エネ住宅の証明書について解説。種類から使用用途まで

2023.07.10 2024.01.01
省エネ住宅の証明書

省エネ住宅の住宅性能を表す証明書について気になっている方に向けて、証明書の種類や取得の際の注意点、証明書取得のメリット・デメリットを解説します。

住宅性能の証明書はいくつか種類があり、認定基準や使用用途も様々です。

証明書は補助金制度や減税制度の活用には欠かせない資料になりますので、しっかりチェックしましょう。(2023年6月末時点の情報を掲載しています。)

住宅の性能表示制度について

住宅の性能表示制度について

省エネ住宅の証明書の解説にあたって、まずは住宅の性能表示制度について解説します。

住宅の性能表示制度とは(※1)

住宅性能表示制度は、平成12年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」という)」に基づく制度です。

住宅性能表示制度は良質な住宅を安心して取得できるようにつくられた制度で、評価項目や評価基準を整備し、第三者機関による評価を行うことで評価結果の信憑性が確保に努めています。
新築住宅に限らず、既存住宅でも証明書の取得が可能です。

高水準の省エネ住宅の性能表示に特化した証明書は、補助金制度や減税制度、金融機関によっては金利優遇に役立つ証明書で、行政が住まいの省エネルギー化を後押ししていることがわかります。

一方で、「住宅性能証明書」という、一定の省エネルギー性に加え、バリアフリー性や耐震性などを評価する証明書、より多い項目を評価する「住宅性能評価書」という証明書も存在します。
これらの証明書は主に贈与税の減税制度の利用のために用いられます。

(※1) 一般社団法人 住宅性能表示協会HP / 住宅性能表示制度とは

省エネ住宅の性能証明書

省庁が定めるZEHなどの住宅の省エネに関する性能基準を満たしている場合、基準に適合した証明書を取得できます。

取得した証明書は補助金の取得や減税制度の利用に活用できますが、証明書によって補助金の利用金額などが変わってきます。

いずれの証明書の取得においても、証明書の基準に適合する仕様にすることや、証明書の発行に費用がかかります。

証明書が必要かどうか、どの証明書を取得するかはしっかり検討する必要がありそうです。

省エネ住宅の性能証明書や認定制度の種類

省エネ住宅の性能証明書

ここからは、省エネ住宅の証明書の認定制度の種類やそれぞれの違いについて解説します。

証明書の利用用途を記載していますが、補助金制度や減税制度の基準は変更されている場合もありますので、注意が必要です。
最新の制度を確認しつつ、必要な証明書をご確認ください。

現行の補助金の種類については関連記事を参照してください。

関連記事【2023年】断熱リフォームで使える補助金を解説! 注意点は?

BELS評価書(※2)

BELSとは建築物省エネルギー性能表示制度の略称で、建築物の省エネルギー性能の評価証明を行う、第三者認証制度です。

新築及び既存、住宅・非住宅問わず評価を行うことができます。

建物の省エネルギー性能を5つ星で示したもので、専門知識がない方でも対象の住まいの省エネルギー性がわかるようになっています。
具体的には、外皮性能(性能基準・仕様基準)と一次エネルギー消費量(性能基準・仕様基準)を評価しており、星の数は一次エネルギー消費量の基準 を表す「BEI」値によって評価をします。

BELSの評価制度では、消費エネルギーに関する基準である「ZEH」の性能証明行うことができ、ZEHに関する補助金制度の証明書に利用することができます。
ちなみに住宅のZEH基準と同等のBEI値では、BELS評価書においては星4つの評価となります。

(※2) 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 / BELS 評価業務実施指針 平成 30 年 7 月 9 日改正

長期優良住宅認定制度(※3)

長期優良住宅とは、長期に渡り良好な状態で住宅を使用するための認定制度です。

耐震性、省エネルギー性、維持管理・更新の容易性、可変性など10項目に対して認定の基準が設けられています。
省エネルギー性の基準では、新築においては断熱等性能等級の等級5相当(ZEH水準と同等)、増築・改築においてはの断熱等性能等級の等級4(もしくは断熱等性能等級かつ 一次エネルギー消費量等級 等級4)を求められます。

評価項目が多い分、長期優良住宅の認定は補助金制度だけでなく減税制度の利用、地震保険料の割引、金融機関によっては金利優遇のための証明にも活用できます。

(※3) 国土交通省/長期優良住宅認定制度の概要について(新築版・増築・改築版)

低炭素建築物認定制度(※4)

低炭素建築物認定制度とは、都市の低炭素化の促進に関する法律「エコまち法」に基づき、二酸化炭素の排出の抑えた建築物に対し、所管行政庁(都道府県、市又は区)が認定を行う制度です。
建築物は市街化区域内の建物のみが対象です。

ZEH基準の省エネ性能に加え、太陽光発電設備や薪ストーブなどの再生可能エネルギー利用設備の採用、加えて二酸化炭素の削減に向けた取り組み9項目のうち1項目を選択して採用することで、認定を取得することができます。

補助金制度及び減税制度の利用、金融機関によっては金利優遇のための証明に活用できます。

(※4) 国土交通省 /エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要

補助金制度に利用できるその他の性能証明書(※5)

省エネ住宅の証明のための主旨の証明書ではありませんが、省エネ性能が補助金制度の基準を満たしている場合に、その旨を記載した証明書として補助金制度の利用に使用できる証明書を紹介します。

2023年6月現在実施中の「こどもエコすまい支援事業」の住宅証明書一覧を参照しています。

(※5) こどもエコすまい支援事業HP/住宅の性能を証明する住宅証明書等の一覧

フラット35適合証明書(※6)

フラット35の住宅ローンを利用する際に金利優遇を受けるために発行する証明書です。

金利優遇の適用は新築物件と中古物件で要件が異なります。

(※6) フラット35「【フラット35】Sの対象となる住宅 プランと技術基準」

性能向上計画認定通知書(※7)

省エネ性能の向上のための仕様を採用した建築物の新築または増築、改築、修繕、模様替え若しくは 建築物への空気 調和設備等の設置・改修を対象として、その計画が誘導基準に適合している場合、認定を受けることができる制度です。

建築物省エネ法に基づき、ZEH・ZEB 水準の省エネ性能が求められます。

(※7) 国土交通省 / 建築物省エネ法に基づく性能向上計画認定制度 改正ポイント

住宅性能評価書(※8)

対象の住宅の性能評価を行い、その旨を記した評価証明書です。

新築住宅では10項目の評価、中古住宅では検査項目が多岐に渡る目視検査を行いますが、省エネ住宅の証明書とことなり、認定のための基準があるわけではありません。

新築住宅には、設計図書などをもとにした評価により交付される「設計住宅性能評価書」と、設計図書などの通りに施工されているかを現場検査で確認し交付される「建設住宅性能評価書」の2種類があり、基本的にはワンセットでの申請が推奨されます。

(※8) 平成十一年法律第八十一号 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第5条・第6条

省エネ住宅の証明書を取得するメリット・デメリット

省エネ住宅証明書メリットデメリット

証明書を入手することで受けられるメリットはありますが、デメリットも把握しておきたいことろです。
証明書を取得することのメリット・デメリットを解説します。

証明書を取得するメリット

さまざまな証明書を取得するメリットを把握しておきましょう。

補助金や減税制度の利用、ローンや地震保険がお得に

前述の通り、証明書の種類によっては、こどもエコすまい支援事業などの補助金や住宅ローン減税などの減税制度、地震保険の割引や住宅ローンの金利優遇の利用に活用できます。

いずれも住宅をお得に購入する上では欠かせない項目ですが、証明書の基準に適合するために住宅の性能を向上させる費用や申請費用がかかりますので注意が必要です。

また補助金制度や減税制度が終わってしまうことも考慮し、制度の実施期間を考慮し申請スケジュールを組む必要があり、こちらも注意が必要です。

資産価値が高くなり売却の際に役に立つ

いずれの証明書も省庁の基準を基に第三者機関が発行した証明書です。

一定の性能が担保されるため、証明書がない状態よりも資産価値が高くなるといえるでしょう。

そのため、売却の際には、物件がより高く売却できる可能性があります。

証明書を取得するデメリット

証明書を取得するメリットを解説しましたが、合わせてデメリットを把握しておくことも重要です。
デメリットもしっかりおさえておきましょう

申請に期間が必要

申請には一定の期間が必要なため、場合によっては居住までの期間が長くなる場合があります。

取得する証明書の種類を検討すると同時に、申請期間を把握することをおすすめします。

補助金や減税などを受けたい場合、手続き上いつまでに証明書が必要なのか確認した上で、申請に必要な期間を考慮して計画を立てるとよいでしょう。

申請や建築にコストがかかる

前述の通り、証明書の申請そのものや、基準を満たすための性能の向上には費用が発生します。

計画の総額や住宅ローンの借入額によっては、証明書を取得してもあまり得しないケースもあるかもしれません。

ハウスメーカーやリフォーム業者・不動産業者に相談の上、証明書取得の検討を行うことをおすすめします。

まとめ

省エネ住宅の証明書を取得することで、補助金制度や減税制度、地震保険の割引など様々なメリットがあります。

一方で、認定基準を満たすことや申請に費用がかかるため、計画を立てた上で証明書の取得を行う必要があります。

ご興味をお持ちの方は、ぜひインテリックスまでお問い合わせください。

参考文献

※1 一般社団法人 住宅性能表示協会HP / 住宅性能表示制度とは
※2 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 / BELS 評価業務実施指針 平成 30 年 7 月 9 日改正
※3 国土交通省/長期優良住宅認定制度の概要について(新築版・増築・改築版)
※4 国土交通省 /エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要
※5 こどもエコすまい支援事業HP/住宅の性能を証明する住宅証明書等の一覧
※6 フラット35「【フラット35】Sの対象となる住宅 プランと技術基準」
※7 国土交通省 / 建築物省エネ法に基づく性能向上計画認定制度 改正ポイント
※8 平成十一年法律第八十一号 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第5条・第6条