もくじ
築古マンションとは、建設されてから一定の年数が経過したマンションのことです。それでは、いつから築古マンションと呼ばれるようになるのでしょうか。
築古マンションは一般的に築年数30年以上の物件を指します。一方、築浅マンションは築年数5年以内のものを指すことが多いです。不動産会社や物件の状態によって、分類や築年数の目安が異なりますが、一つの目安として覚えておきましょう。
新築マンションは築浅に含まれると勘違いされやすいですが、新築と築浅は別の分類です。新築マンションは、建設工事完了から1年以内かつ誰も入居したことがないという条件を満たした物件のことを指します。
マンションは築年数が経つにつれて、設備や建物の状態が徐々に劣化していくため、価格も低下していきます。そのため、新築や築浅よりも築古の方が市場価格は安くなります。
国土交通省の『「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介』という資料によると、鉄筋コンクリート造住宅の平均寿命は68年とされています。
一方で、ここ20~30年に建てられた住宅は性能が向上しているため、リフォームを適切に行えば100年でも十分に持つとされています。また、30年ごとに繰り返し内装や設備を更新し、躯体も部分的に補修すれば、耐用年数は無限大ととらえられるという見解が示されています。
つまり、適切に補修・修繕されていれば、築古マンションは半永久的に住み続けられるものと考えられます。
それでは築40年の中古マンションはなぜ売れないといわれるのでしょうか。
前述の「中古住宅購入における消費者サイドの調査結果(複数回答)」によると、中古住宅を購入して良くなかった点は以下のとおりです。
リフォームやメンテナンス費用が掛かる…36.1%
住宅設備が古い…34.4%
断熱性能が悪い…24.7%
耐震性が心配…20.3%
欠陥があった…20.3%
思い通りの間取りではない…18.9%
汚れている…14.1%
それでは、築40年のマンションが売りにくい理由を売手と買手の目線別に詳しく見ていきましょう。
参考:国交省|中古住宅流通、リフォーム市場の現状
売手として築古マンションを売りにくい理由の一つが、築年数が経過していることにより設備が劣化していることがあげられます。
築年数の経つマンションは建物だけでなく、設備も劣化している傾向にあります。
そのためマンションの引き渡しを受けて、直ぐに故障が発生するケースもないとは言い切れません。特に給排水設備に不具合が見つかり契約不適合責任を追及されると多額の費用が掛かってしまいます。
また設備の故障はなくても、古いマンションの設備はそのままだと新築や築浅のものと比べて見劣りがするのは否めません。たとえば古いマンションは断熱性や換気が悪いケースも多いです。
また宅配ボックスやエントランスのオートロック・浴室換気乾燥機・ホームセキュリティ・防犯カメラなどがないと買手からは敬遠される恐れがあります。
売手目線での売りにくい理由のもう一つは、マンションの老朽化により見栄えが悪化しており、人気が出づらいことがあげられます。
新築や築浅のマンションは、デザイン性などの点で魅力的な外観が多いですが、相対的にみると築40年の中古マンションは、汚れや傷もあり見栄えはよくないことも多いでしょう。
特に大規模修繕が行われる前のマンションは、汚れや傷も目立ちデザインも旧式で、外観の魅力は少ないといってよいでしょう。
買手としては、築40年のマンションは修繕積立金が高くなる恐れがあり、購入価格は安くとも毎月の出費がかさむのではと懸念することがあります。
築年数が経つマンションは、建物全体の老朽化や劣化が進んでいるため、一般的に修繕積立金が高くなる傾向があります。特に築40年前後になると、修繕費が増えやすいです。
また古いマンションは新耐震基準に合っていない場合や断熱性に問題がある場合もあり、大規模修繕工事を行う前であれば毎月の修繕費は高くなりやすいといえるでしょう。
購入金額に加えて毎月の修繕費がかかるため、買手としては安くマンションを購入した意味がなくなってしまいます。
さらに管理費をおさえようと管理会社を入れず自分で管理しようとすると、経費は出ませんが、管理がずさんになってしまうことがあります。
参考:築40年を経過したマンションの修繕工事費の実績(事例研究) | レポート | マンションみらい価値研究所
買手として築40年のマンションを前向きに購入しようと検討していても、住宅ローン審査に通らず断念してしまうケースも考えられます。
築年数が経っているマンションは、固定資産税の評価額などが低くなり担保評価が下がるため、金融機関の住宅ローン審査に通りにくいといえるでしょう。
ローンを借りてマンションを購入する場合、購入予定のマンションを担保に入れることが一般的ですが、中古マンションの担保評価はどうしても低くなります。そのため予定していた金額を借りられず、物件を購入できないことも往々にしてあります。
買手としては、築40年のマンションの耐震性能に不安を覚えやすいものです。
1981年以前に建設されたマンションは、旧耐震基準で建てられているため、耐震性に問題があることも考えられます。
しかし、耐震性を強化するための補強工事は簡単ではありません。
さらに工事費用は多額に上るため住民の同意を得ることは難しく、結果買手からは敬遠されやすいといえるでしょう。
また、旧耐震基準で建設されたマンションは、一定以上の耐震性能を審査で証明できない限り、住宅ローン控除や贈与税の非課税措置を受けられません。そのため、節税面から考えて買手が築40年のマンションの購入を避けてしまうこともあります。
旧耐震基準は1950年から1981年5月まで適用されていたもので、震度5強程度の地震の揺れに耐えうる建設基準でした。
しかし、1978年の宮城県沖地震で建物の倒壊やブロック塀の損壊などが多発したため、1981年6月より新耐震基準が適用されるようになりました。新耐震基準は震度6強から7程度の揺れへの耐震性が求められています。
築40年の中古マンションは、どの程度の資産価値があるのでしょうか。
国土交通省が運営する土地総合情報システムにて、2022年第1四半期から第4四半期の1年間における東京都全域の中古マンションの取引状況を抽出し、平均価格を以下にまとめました。
築年数(取引時期) | 平均価格 |
---|---|
築10年(2004~2013年) | 4,802万4,224円 |
築20年(1994~2003年) | 4,326万3,744円 |
築30年(1984~1993年) | 2,637万2,441円 |
築40年(1974~1983年) | 2,878万6,144円 |
築50年(1964~1973年) | 2,805万1,650円 |
参照:国税庁「土地総合情報システム」東京都のデータをもとに作成
中古マンションは築年数が古くなるほど価格も下がっていくものです。築30年を目安に一段階価格は下がりますが、それ以上は大きく下落する傾向にはないことが分かります。
上記の表はあくまで平均価格なので、極端に高い物件や安い物件の数値の影響を受けている可能性もありますが、価格の下落幅の目安として参考にできるでしょう。
それでは、売れる築古マンションはどのような特徴があるのでしょうか。買手にとってのメリットから考えていきましょう。
買手にとって築古マンションの一番の魅力は、購入価格の安さにあると言っても過言ではありません。
国交省が2022年5月に発表した不動産価格指数によりますと、近年新築マンションの価格は非常に高くなっており、購入は難しくなっているといってよいでしょう。
しかし築40年を超えるような中古マンションは、新築と比べ4~5割程度安く購入できます。そのため、自分の好みに合ったマンションにリノベーションすることに費用をかけたいという人などに一定の需要があります。
参考:国交省|不動産価格指数
マンションの購入条件は何といっても立地です。
新たに建築可能な立地条件の良いエリアは限られており、どうしても駅からの距離があり立地の悪い場所に新築マンションが建ちやすくなります。
一方、中古マンションは駅に近く、立地の良い場所に建っている場合が多くあります。立地がいい物件を比較的安く購入できるのは、買手にとっての大きなメリットとなります。
リノベーションによって付加価値がついている築古マンションは、最新設備やデザインが採用されているので買手にとって魅力的にうつりやすいです。
一方で、リノベーションして売るべきかどうかは、不動産会社と相談してから検討することをおすすめします。
近年は、中古マンションを安く購入して自分のライフスタイルに合った住まい作りを実現したいという人も増えています。購入後に自らの手でリノベーションしたいという買手も一定数いるため、慎重に判断しましょう。
築40年の中古マンションを売却する方法には「仲介」と「買取」の2種類が存在します。それぞれの特徴やメリットについて解説します。
仲介とは、不動産会社が売主の依頼を受けて買手を探す方法のことを指します。仲介の場合は、不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。
仲介によるマンションの売却は、不動産会社による買取より高く売れる可能性がありますが、買手を探すため一般的には時間がかかります。
物件を高く売却するには、相場を把握し適切な価格で売り出さねばなりません。
売出価格が相場よりも著しく高いとなかなか売却できませんし、逆に安いと利益が少なくなり、あまりに安いとマンションの瑕疵も疑われることになりかねません。
仲介の最大のメリットは、買取よりも高く売却できる可能性が高いことにあります。代表的なメリットは以下の通りです。
・買取よりも高く売却できる可能性がある
・購入検討者の意見を聞いて売り方を工夫できる
仲介には仲介手数料がかかりますが、不動産会社が高く売るタイミングを見極めて販売してくれますし、広告宣伝活動を通じて高値でも購入してくれる人と出会える可能性も高まります。
また、内覧を通じて購入検討者の意見を聞き、見せ方やアピールポイントなどを工夫してより高値で売るための改善も行えます。
仲介は高く売りやすいというメリットがありますが、買取よりも様々な手間がかかってしまいやすいものです。代表的なデメリットは以下になります。
・売却に時間がかかりやすい
・契約不適合責任を負うことになる
・内覧対応に手間がかかる
・売却することを周囲に知られてしまう
・仲介手数料がかかる
仲介の場合は買主探しから始まり、買主が決まった後も住宅ローン審査や契約といった手続きを待つことになるため、すぐに売却することができません。
また、売主は不動産会社ではなく自分自身になるため、契約不適合責任を負う必要があります。多少の手間をかけてでも高く売却したいという場合は、仲介を選ぶとよいでしょう。
買取は、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法です。
買取はすぐに物件を売却できますが、売却価格は仲介より安くなるのが一般的です。不動産会社は買取った中古マンションをリノベーション・リフォームして再販売します。
したがってすべての中古マンションを買い取ってもらえるわけではなく、再販売ができない物件は買い取ってもらうことはできないでしょう。
具体的には、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:不動産は「買取」で早く売れる!メリット・デメリットや、仲介との違いも解説
買取は直接不動産会社に物件を買い取ってもらう方法のため、スピーディに売却を済ませられます。買取のメリットは以下の通りです。
・仲介よりもスピーディに売却できる
・資金計画が立てやすい
・複数回にわたる内覧対応が不要
・周囲に知られず売却できる
・契約不適合責任は原則不要
・リノベーションは不要
・売主都合のスケジュールで進められる
・築古物件も売りやすい
・仲介手数料が不要
不動産会社が直接買い取り、リノベーションを行った上で再販売するため、手間をかけず素早く売却することができます。
また、売主が不動産会社になるため、原則として契約不適合責任を負うことがありません。築古物件を積極的に買い取り、リノベーションして販売する不動産会社も存在するため、仲介では売りにくい物件も売却できる可能性があります。短期間で手間をかけず、計画的に売却したい場合は買取がおすすめです。
買取は素早く売りやすいというメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
・売却価格が低くなりやすい
・買取できない場合もある
買取の場合は不動産会社がリノベーションを施し、付加価値を高めた上で再販するため、仲介よりも売却価格が低くなりやすいです。また、老朽化が著しい場合やは再建築不可物件などは、買取できないケースもあります。
築40年の中古マンションを売却するときのポイントや注意点を説明しましょう。
40年以上前に建設したマンションは、立地が良いケースも多くあります。
立地の良い新築・築浅マンションは高額になっているため、簡単に購入するのは難しいといえるでしょう。
そのため立地の良い中古マンションは、一定の需要があります。立地やエリアの良く、同じエリアの中でも比較的安価であるという魅力をアピールすることによって、買手がつきやすくなるでしょう。
冒頭で説明したとおり、中古マンションに対しては「汚れている」というイメージを持っている層が一定数います。買手になるべくそう思われないように、築40年のマンションを売却する際には、部屋の中を掃除して生活感が出過ぎないように整理整頓しましょう。
特に汚れが目立つ中古マンションでは、プロの清掃業者にハウスクリーニングを依頼しましょう。
清掃が行き届いていれば、買手に好印象を与えられるため、築40年でも売却できる可能性が高くなります。
ホームインスペクションを行えば、中古マンションの信頼性向上につながるため、売却しやすくなります。※1
築40年を超えるマンションには、建物の状態や耐震性に対する不安を抱く買手が多いです。ホームインスペクションを実施して建物の状態を明確にすることで、安心感を与えられれば、物件を売却できる可能性は高まります。
また、ホームインスペクションによって明らかになった問題点を修繕することで、建物の価値を向上させることも考えられます。
※1 ホームインスペクションとは、専門家が建物の劣化状況や耐震性を診断し調査することを言います。
買取を依頼する場合には、同じ築年数のマンション買取の実績豊富な不動産会社を選びましょう。
そのような実績のある会社は、築40年の物件を購入して、どのようなリノベーションをしたら付加価値が増して高く売却できるか把握しています。
また相場や取引慣行などにも精通しているため、安心して取引ができます。
築40年の中古マンションの売却については、古いがゆえに注意しなければならない点がいくつかあります。
築40年のマンションは古いから売れないと考えて、自分でリフォームやリノベーションしてはいけません。
中古マンションを安く購入して、自分の好みの部屋に改修したいと考えている買手は一定数います。そのように考えている人に対して、勝手にリフォームやリノベーションするのは余計なお節介になってしまいます。
売手の好みで部屋を改修した場合、買手のニーズに合致しない改修をしてしまうこともあるかもしれません。
その場合は中古マンションをリフォームやリノベーションした金額を上乗せできず、いつまでたっても買手がつかないということにもなりかねません。
売手の独断でリフォームやリノベーションをせず、実施の是非を不動産会社に相談するようにしましょう。
築40年を超えるマンションは、売却後に物件にトラブルが発生した場合、契約不適合責任を問われる恐れがあります。※2
したがって売手は、問題となりそうな部分については、あらかじめ買手に伝えておく必要があります。
なお、買取であれば売主が不動産会社になるため、原則として契約不適合責任を問われません。
※2 契約不適合責任とは、売却した物件が契約内容と異なる部分が見つかった場合に、修繕や契約解除されるなどの売手が負わなければならない責任のことです。
築40年の中古マンションが売れない理由や売却時のポイント、注意点について解説してきました。買取はスピーディに手間をかけず売却できるのがメリットです。
インテリックスは、仲介では売却が難しい物件も積極的に買い取り、リノベーションして再販した実績があります。中古マンションの売却でお困りの方は、築古物件の買取実績豊富なインテリックスにご相談ください。
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