マンションのリノベーションを検討していて、内窓の効果が気になる方もいるでしょう。
内窓を設置すると、断熱性が高まり、快適な室温を保ちやすくなります。
また、内窓の設置は、制約が多くなりやすいマンションのリノベーションでも実施しやすい工事です。
内窓には断熱性能の向上以外にもメリットがあるので、設置する際のポイントやマンションのリノベーションにおすすめの理由を解説します。
もくじ
内窓をつけることに本当に意味があるのか、心配な方もいると思います。
そんな疑問を解消するため、内窓に断熱効果が期待できる理由を知っておきましょう。
内窓を設置すると、内窓と外窓との間に空気の層ができます。
この空気層が断熱材の役割を果たすため、室内の空気が外に逃げにくくなるとともに、外気温の影響を受けにくくなるのです。
冬の暖房時には、約6割の熱が窓などの開口部から外に出てしまいます。
そのため、室温を快適に保つには窓の断熱性を高めることが非常に重要です。
内窓と二重サッシ、複層ガラスなど、窓の名前をよく耳にします。
これらは混同されやすいですが、同じものではありません。
簡単に説明すると、内窓は二重サッシの一部です。
また、二重サッシが窓を2つ重ねたものであるのに対し、複層ガラスは窓としてはあくまでも1つです。
それぞれの詳しい違いについて解説していきます。
内窓とは、既存の窓の部屋側に、後から設置された窓のことです。
既存の窓はそのまま残し、内窓のみを新たに設置すればよいので、リノベーションで設置しやすい点がメリットです。
内窓を設置すると先述の通り断熱効果が得られますが、後から解説するようにほかにもさまざまな効果が期待できます。
得たい効果に合わせて内窓のガラスを選ぶことがポイントです。
二重サッシとは、外窓と内窓を合わせた全体のことを指します。
先述の通りリノベーションでは、すでにある窓に内窓を追加して二重サッシにすることが多いです。
このことから二重サッシと内窓を同じものと考えている人もいますが、厳密には違います。
「今ある窓に内窓を追加すると二重サッシになる」と考えるとわかりやすいでしょう。
複層ガラスとは、ガラスが複数枚の層になっているタイプの窓ガラスです。
二重サッシは独立した内窓と外窓が設置されているため、両者を別々に動かすことができます。
それに対して複層ガラスはあくまでも1枚のガラスなので、各層を別々に動かすことはできません。
二重サッシの内窓として複層ガラスを使用することもあります。
先述の通り、内窓を設置して二重サッシにすると高い断熱効果が得られます。
しかし、内窓を設置するメリットは断熱性の向上だけではありません。断熱性以外の内窓を設置する主なメリットはこちらです。
それぞれについて解説します。
内窓をつけると、結露を防ぐことができます。
結露ができるのは、室内の暖かい空気が外気で冷たくなった窓によって冷え、空気中の水蒸気が水に変わるからです。
内窓を設置すれば、内窓は外気の影響を受けにくくなるので、結露の発生を防げます。
結露はカビやダニが繁殖する原因となるため、結露防止は健康面のケアにおいても重要です。
ただし、外窓は外に接しているため冷たくなります。
室内の暖かい空気の影響をまったく受けないわけではないため、外窓については多少結露が生じることはあるでしょう。
内窓を設置して外と室内とを隔てる窓を二重にすると、その分、室内外に音が伝わりにくくなります。
また、内窓と外窓の間の空間の空気層にも、騒音や音漏れを防ぐ効果があります。
外からの騒音をブロックできれば、大きな道路や線路沿いの家でも睡眠やリラックスタイムを邪魔されず、快適に過ごせるようになります。
家の中の音が外に漏れる心配も軽減されるため、小さなお子さんがいる家にとっては特に嬉しいポイントです。
内窓の設置には、冷暖房費を抑えられるという経済面でのメリットもあります。
内窓を設置して二重サッシにすることで、室内の空気が外に逃げにくくなるとともに外気温の影響が緩和されます。
冷暖房が早く効くようになり、快適な室温を維持しやすくなるのです。
内窓の購入・設置には費用がかかりますが、快適なだけではない、経済面でのメリットを考えると費用をかけて導入するだけのメリットはあると思います。
内窓を設置した二重サッシには、防犯効果もあります。
窓が二重になっていると、その分窓からの侵入に手間や時間がかかります。
窓を割るにしても2枚割らなければならないため、音で周りに気づかれやすくなり、侵入を未然に防げる可能性があるのです。
警察庁の調査によれば、侵入窃盗では侵入口が窓や玄関などの開口部であることが多く、その中でも侵入手口が窓破りのケースも多いことがわかっています。
防犯効果のある内窓を設置することで、より安心して暮らすことができます。
内窓にLow-E複層ガラスなどを選ぶと、UVカット効果も得られます。
Low-E複層ガラスとは、複層ガラスの間の面に特殊な金属膜を貼り、優れた断熱性能と日射熱取得率、そしてUVカット効果を持つガラスです。
金属膜を張る位置や金属膜の色により、特徴が変わります。
窓にUVカット効果があれば、肌の老化や家具・床の劣化を防げます。
日当たりの良い場所で小さなお子さんがお昼寝する際にも安心です。
カーテンで紫外線を防ぐ方法もありますが、例えば見晴らしの良いマンションだと、天気の良い日には外の景色を楽しみたいと思うでしょう。
こうした場合にも、内窓のUVカット機能はおすすめです。
機能面・経済面・防犯面・健康面でさまざまなメリットがある内窓ですが、一方でデメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか、具体例を4つ見ていきましょう。
内窓は後付けしやすいため、リノベーションで取り入れやすい点が魅力です。しかし、設置には商品代と工事費用がかかります。
断熱効果や遮音効果などを十分に得るためには、少なくともリビングや寝室など、複数の箇所に内窓を設置する必要があるため、合計すると費用がかさむ可能性があります。
内窓の商品代はガラスの種類やデザインによっても変わります。
部屋ごとにどの程度の断熱・その他の機能がほしいのかを検討し、各部屋に合ったガラスを選ぶことが費用を抑えるポイントです。
二重サッシでは、内窓と外窓がそれぞれ独立して設置されています。
そのため、換気したりベランダに出たりする際には、2度窓を開閉しなければいけません。
窓枠が二重になるためサッシの掃除にも手間がかかりますし、就寝前・外出前には内窓と外窓の戸締まりチェックが必要です。
内窓は基本的には引違い窓に設置するものなので、既存の窓タイプによっては設置できないことがあります。
しかし、メーカーによってはFIX窓など他のタイプの窓に対応していることもあるので、引き違い窓以外に設置したい場合は比較検討してみましょう。
内窓は既存の窓の内側に設置するため、その分、部屋が狭くなったように感じることがあります。
窓が二重になることで圧迫感が生じることもあるため、特に今まで住んでいた自宅に内窓をつける場合は躊躇する人もいるでしょう。
しかし内窓の圧迫感は、窓やサッシのデザインを工夫することで緩和することが可能です。
圧迫感が気になる人は、その点も踏まえて内窓選びをするようにしましょう。
内窓の設置は一戸建てにもさまざまなメリットがありますが、特にマンションのリノベーションにおすすめです。
なぜマンションのリノベーションにおいて、内窓の設置がおすすめなのか、理由を3つ解説します。
内窓がマンションリノベーションにおすすめなのは、共有部分に手をつけることなく窓の断熱性を高められるからです。
マンションの窓やサッシは、基本的に共有部分にあたるため、個人で変えられません。
窓は個々人が住む部屋の一部ではありますが、外観の統一性や構造に関わるため共用部分とされ、マンションの規約で個人による変更が禁じられているケースが多いのです。
そのため、窓の断熱性を高めたくても、既存の窓を複層ガラスに取り換えるリノベーションはできません。
しかし、内窓なら既存の窓に手を加えることなく、内側に新たな窓を設置するだけで済むので、マンションでも窓の断熱性向上を実現できます。
手軽で断熱効果が高い点も、内窓設置をマンションリノベーションでおすすめする理由です。
内窓は、3~4窓程度なら半日ほどで施工可能です。
大がかかりかつ時間のかかるリノベーションだと、工事の音や業者の出入りでほかの住人に迷惑がかかるおそれがあります。
工事を依頼する側としても、スケジュールに気を使うことでしょう。
しかし、内窓設置は比較的手軽なので周りに迷惑がかかりにくく、キチンと施工されれば高い断熱効果が期待でき、暮らしが大幅に快適になります。
マンションリノベーションで内窓をつける際には、要件を満たせば補助金を利用できます。
現在、省エネ住宅取得を推進するために政府が住宅省エネ2024キャンペーンを実施しています。
この中で内窓設置が対象となるのは、「先進的窓リノベ事業(※1)」と「子育てエコホーム支援事業(※2)」です。
先進的窓リノベ事業では1戸あたり最大200万円、子育てエコホーム支援事業では1戸あたり最大60万円の補助金が受けられます。
同じ箇所の内窓設置工事について両方の補助金を併用することはできません。
どちらを利用すべきかは補助金の申請者である施工会社にも問い合わせて検討してみましょう。
ほかにも住宅ローン減税や所得税減税などの対象となることもあるので、合わせて施工会社に問い合わせてみることをおすすめします。
(※1) 国土交通省、経済産業省、環境省 『住宅省エネ2024キャンペーン「先進的窓リノベ事業」』(令和6年3月時点)
(※2) 国土交通省、経済産業省、環境省 『住宅省エネ2024キャンペーン「子育てエコホーム支援事業」』(令和6年3月時点)
内窓の設置により十分に断熱性を高め、満足度の高いリノベーションをするには、樹脂サッシを使うこと、窓だけでなく壁や床など、住まい全体の断熱工事も行うことがポイントです。
それぞれについて詳しく解説します。
より効果的に断熱性を高めたい場合は、樹脂製サッシを選択しましょう。
断熱性能は、熱伝導率の違いなどからアルミサッシより樹脂製サッシのほうが優れています。
さらに断熱性能を高めたい場合は、内窓を複層ガラスにすることもおすすめです。
内窓と外窓の間だけでなく内窓の中にも空気の層ができるため、より一層の効果が期待できます。
窓だけでなく、壁や床など住まい全体の断熱工事も行うと、より断熱効果が高まり快適な暮らしが手に入ります。
すでに紹介した通り、冬の暖房期には室内の熱の約6割が窓などの開口部から出ていきます。
そのため窓の断熱性を高めることが重要なのですが、壁や床もまた、暖かい空気の流出のもととなります。
いくら窓の断熱性を高めても、壁や床が冷たければ十分な断熱効果は得られません。
足元が冷えていたり壁がひんやりしたりすると体感温度が低くなることは、想像しやすいかと思います。
このため、断熱工事による満足度を高めるためには、内窓の設置とともに壁や床にも断熱工事を行うことをおすすめします。
断熱リフォームについて、詳しくは『断熱リフォームとは?中古マンションをもっとエコで快適にする方法』で解説していますので、興味のある方はぜひご確認ください。
新築ではあたりまえとなってきた、省エネ性能をいちはやく中古マンションにも取り入れたのが、インテリックスのエコキューブ。
内窓・冷暖房・換気・給湯・照明などを省エネルギー性能が高い設備へ新規交換することにより、省エネ化を実現しています。
さらに物件ごとに一つひとつ、エビデンスとなる省エネルギー性能レポートを発行し省エネ性能を見える化しています。
*物件ごとに内装内容が異なります。詳しくは、物件ごとにお問合せください。
エコキューブサイトで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
省エネリノベーションエコキューブ
内窓はマンションの断熱性を高めるために非常に効果的です。
ただし、より断熱性能を高めるには壁や床の断熱工事も合わせて行いたいところです。
気になる方は、ぜひ一度インテリックスまでお問い合わせください。
(※1) 国土交通省、経済産業省、環境省 『住宅省エネ2024キャンペーン「先進的窓リノベ事業」』(令和6年3月時点)
(※2) 国土交通省、経済産業省、環境省 『住宅省エネ2024キャンペーン「子育てエコホーム支援事業」』(令和6年3月時点)