不動産について 省エネ

気密性を示す数値、C値って何?

2023.06.14 2023.12.30
気密性 リビングの家族

住宅性能は、快適な居住空間にとって重要なポイントです。

住宅性能のひとつ、気密性を示すC値とはどのような値なのか?また、具体的にはどのようなメリットがあるのか、リノベーションでも気密性を向上させることができるのか?など気密性に関することをこの記事では詳しく紹介します。

気密性・C値とは何か?(※1)

気密性・C値とは何か

気密性・断熱性が高い家は、外気の影響を受けにくいため冷暖房効率が良く冷暖房費を節約することができます。

また、気密性が高い家では、窓やドアなどの隙間から外気が入り込むことが少なく、室内の温度が安定 しやすいため、結露やカビの発生を抑えることなど様々なメリットがあります。

この、家の気密性を示す値としてC値があります。

C値とは、住宅における相当隙間面積のことです。

家中の隙間を集めた隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割ったもので、単位はcm2/m2で表します。

C値の値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高い事を表しています。

(※1)『令和2年度 国土交通省補助事業 住宅省エネルギー技術講習テキスト』

気密性・C値の測定方法

C値の測定は、実際に建てられた建物内で、専門の気密測定試験機を使って行います。

数値が小さいほど優れた気密性をもつ建物といえます。

例えば、延床面積が40坪(132m2)の場合、C値が5.0なら隙間面積は660cm2(はがき約4.5枚相当分)、C値が2.0なら隙間面積は264cm2(はがき約1.8枚相当分)です。

C値の測定費用は、家の大きさや構造、業者や地域によって異なるので気になる方は、測定業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。

気密性を高める方法(※1)


気密性を高めるためには、天井・壁・床に気密層を施工します。

気密層とは、室外と室内の隙間を失くすために、防湿材や気密材などで構成される層のことです。

気密材を隙間なく施工し、気密層を連続させることにより、躯体の隙間における内外の空気の移動を防止し、気密性を高めることができます。

ほかにも、気密性を高める為に気密補助材を施工するなど、気密層の設け方には様々な方法があります。

(※1)『令和2年度 国土交通省補助事業 住宅省エネルギー技術講習テキスト』

気密性が高い住宅のメリット

気密性が高い住宅のメリット

気密性が高い住宅のメリットとしては次の4点を挙げることができます。

  • 室内の温度を一定に維持しやすい
  • ヒートショックのリスクを軽減
  • 省エネにつながる
  • 結露やカビの抑制につながる

室内の温度を一定に維持しやすい

気密性が高い家は、壁や窓、ドアなどの隙間が少なく、外気の熱や冷気が室内に侵入したり、室内の熱や冷気が外気に逃げにくくなります。

そのため、室温が急激に変化することが少なく、快適に過ごすことができます。

ヒートショックのリスクを軽減

ヒートショックとは、急激な温度変化によって引き起こされる体調不良です。

気温の変化が激しい冬や夏に起こりやすいです。

気密性・断熱性が高い家は室温を一定に維持しやすいため、ヒートショックのリスクを軽減します。

省エネにつながる

気密性・断熱性が高い家は室温を一定に維持しやすいため 、エネルギー効率が高くなるため、冷暖房費を節約することができます。

結露やカビの抑制につながる

気密性・断熱性の高い家は、外気の影響を受けにくく、室内の温度や湿度を一定に保つことができます。

そのため、結露やカビの発生を抑制することができます。

結露とは、暖かい空気が冷たい壁や窓に触れて、水蒸気が水滴に変化することで発生します。

気密性・断熱性の高い家では、外気の影響を受けにくいため、室内の温度が低くなりにくく、結露が発生しにくくなります。

カビは、湿度の高い場所で発生します。気密性の高い家では、室内の湿度を一定に保つことができるため、カビの発生を抑制することができます。

気密性は高ければ高いほどいい??

ここまで、気密性能が高いことのメリットについてご紹介してきましたが、気密性能は高ければ高いほどいい家なのか?とは一概に言えません。

過剰な性能は家の価格を上昇させる要素となりますし、日本は南北に長く、地域によって快適な暮らしのために必要な住宅性能の基準値も異なります。

「高気密」に関して一定の基準があれば、数字などで気密性や断熱性の程度を把握しやすくなりますが、日本では、「この数値に達していれば高気密の住宅になる」という明確な基準はありません。

ハウスメーカーが気密性や断熱性に関して一定の基準を示しているケースもありますが、あくまでもメーカーが独自に定めている基準です。

国が一定の基準を定めているわけではないことに注意しましょう。

リノベーションで気密性を高める

「高気密な家」の明確な基準はありませんが、気密性・断熱性を高めることは、快適な暮らしにつながります。

家の住宅性能を高めることは、リノベーションでも可能です。その中で、気密性を高める方法としては下記のような例があります。

気密性が高い窓に交換する、気密テープや気密パッキンを貼る

単板ガラスの窓を複層ガラスの窓に交換する、樹脂製サッシに交換するなど、気密性が高い窓に交換することで、気密性を高めることができます。

また、気密テープや気密パッキンを窓やドアなどの隙間に貼ることで、空気の漏れを防ぐことができます。

快適な居住空間を作るためには、気密性だけでなく断熱性能の向上もあわせて検討する必要があります。

また、気密性も断熱性も、性能の高い建材を使用するだけでは高めることはできません。

高い施工技術と適切な施工計画を策定できる会社でないと、充分な効果が発揮できなかったり、オーバースペックで余分なコストがかかる原因にもなってしまいます。

このため、信頼・実績のある不動産会社、施工会社を選ぶことが重要です。

高気密・高断熱な家のメリットやデメリットについては関連記事『高気密・高断熱住宅とは?メリット・デメリットについて解説!』にて詳しく解説しているので、気になる方はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

気密性についての要点を、以下5項目にまとめました。

  • 気密性が高い家は外気の影響を受けにくいため冷暖房効率が良く、冷暖房費を節約することができる
  • C値とは、住宅における相当隙間面積のことで、 値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高い事を表している
  • 気密性・断熱性は、住むエリアに応じて求められる水準が異なる
  • リノベーションでも気密性を高めることができる
  • 気密性と断熱性は両立することで、快適な居住空間を実現できる

気密性が気になる方は、お近くの住宅会社等に一度ご相談してみることをおすすめします。

参考文献

(※1)『令和2年度 国土交通省補助事業 住宅省エネルギー技術講習テキスト』