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不動産取引における「媒介」と「仲介」の違いや媒介契約の種類を解説

2017.07.31 2024.03.14

不動産取引における「媒介」と「仲介」ついて、それぞれの意味は大きく変わりませんが、用いられるシーンが異なりますので、仲介手数料や媒介契約などの用語とあわせて解説をします。

媒介とは。仲介との違いは?


マンションの購入や売却を検討する際、頻出する不動産業界ならではのワードの一つが、「媒介」と「仲介」です。この二つの言葉には、それぞれのどのような意味や違いがあるのでしょうか。以下で解説していきます。

媒介とは

媒介とは、宅地建物取引業法で用いられる用語で、契約者間の仲立ちをすることを意味しています。しかし不動産業界では、売却をする際に売主が不動産業者と結ぶ契約を指して使われるケースがほとんど。

そのため「A社と媒介契約を結ぶ」といった使われ方をします。

仲介とは

仲介とは、直接話し合うことができない当事者の間に入って、問題の解決など話をまとめること。不動産業界の場合であれば、売主と買主の間に立って契約を取りまとめることを指します。

そのため、本質的には媒介と同じ意味なのですが、より広義の意味合いで用いられることが多く、仲介の中に媒介が含まれるようなイメージになっています。

媒介と仲介の違い

媒介と仲介は、言葉そのものが持つ意味としては大きな違いはありません。

ただし不動産業界においては、仲介の中のアクションの一つとして媒介があるという扱いとなっており、「マンションの仲介をしてもらうために、A社と媒介契約を結んだ」といった言葉の使われ方をします。

媒介契約の種類について

不動産業者と結ぶ媒介契約には、「専任」と呼ばれる「専属専任媒介」「専任媒介」と「一般」と呼ばれる「一般媒介」の3種類があります。それぞれの特徴に関しては以下の通り。

契約の種類専任一般
専属専任媒介専任媒介一般媒介
媒介契約数1社のみ1社のみ複数可
レインズ(指定流通機構)への登録5日以内に登録7日以内に登録登録義務なし
業務状況の報告1週間の1回以上2週間に1回以上報告義務なし
自身で売買相手を探す不可

ここからは、それぞれの契約のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

一般媒介契約

複数の仲介業者に販売活動を依頼できることが、一般媒介契約の特徴と言えます。インターネットが普及する以前は、折込広告や住宅情報誌への物件掲載が販売活動の中心だったため、より多くのお客様の目にとまるようにするには、多数の仲介業者さんに販売活動をお願いする必要がありました。

インターネットの普及により、専任媒介でも多くのお客様の目にとまるようになっていますので、そのメリットは以前と比べて薄れています。

独自のお客様を多く抱えている仲介業者の場合は、コストをかけずに多くのお客様に紹介できる可能性がありますので、様々なタイプの仲介業者を組み合わせることも一つの選択と言えます。

また、レインズと呼ばれる指定流通機構の登録義務がないことも特徴的です。 不動産仲介業者はレインズ(REINS)という不動産業者専用のオンラインシステムで物件情報を共有しています。専任の場合はREINS(指定流通機構)に掲載義務があるので、全ての仲介業者が物件情報に接することができます。

一般媒介契約のメリット

一般媒介契約では、複数の不動産業者に媒介を依頼することができるのが最大のメリットです。複数業者に依頼しておけば、それだけチャネルを増やすことができますし、1社の力量によって売却のチャンスを左右される心配がありません。

また売却しようとしている物件の条件が良く、人気が出そうなものであれば、不動産業者間で競争原理が働き、より有利な条件で売却できる可能性もあります。

一般媒介契約のデメリット

複数の不動産業者と媒介契約が結べるからこそ、やり取りが煩雑になり、その対応に追われる可能性があるのがデメリットです。場合によっては、1日に複数の不動産業者から内覧の依頼が来て、その調整に多くの時間を割かなければならなくなってしまうこともあるでしょう。

また不動産業者の中には、専任媒介契約をすることで特典サービスを付与してくれるところもあり、一般媒介契約ではそうした特典が受けられないのもデメリットです。

一般媒介契約が向いているケース

不動産の売却に慣れていなかったり、馴染みの不動産業者がいない場合は、まずは一般媒介契約で、広く不動産業者とつながりを持っておくと良いでしょう。

また自身の物件が人気のエリアにあったり、比較的新しく綺麗であったりなど、売れる可能性が高いと判断できるものであれば、競争原理を働かせる意味でも一般媒介契約の方が向いています。

なお、媒介契約は途中で切り替えることもできるため、まずは一般媒介契約で進めつつ、ここに任せたいという不動産業者が見つかったタイミングで、専任媒介に切り替える方法もおすすめです。

専任媒介契約

実際に不動産を売りに出すと、販売開始時や価格改定時などには、多数の内覧希望がある場合があります。

売却希望のお客様にとって、大勢の購入検討者が訪れてくれることは非常にありがたいことですが、購入するお客様側は現物を見ないで購入に至ることはまずありません。購入を真剣に検討しだすと、2度、3度と内覧を希望するお客様も少なくありません。

専任の場合、窓口は専任契約をした仲介会社一社になりますので、売主仲介が内覧スケジュールの調整を行ってくれます。

逆に一般媒介の場合は、一般媒介契約した仲介業者全てが窓口になり、複数の窓口からの内覧依頼を、お客様自身が調整・管理しなければなりません。平日も各仲介業者と連絡を取り続ける必要があり(仲介業者は一刻も早くお知らせしようとしているだけなのですが…)、実際に経験してみると想像以上に負担となります。

専任媒介は一社独占=競争原理が働かないのでは?と感じるかもしれませんが実際は全く逆です。

専任契約を交わすと、お客様への報告義務が発生しますので、仲介業者は責任を持って売却活動を行います。
適正物件価格を算出し、適正なお客様に紹介できる販売チャンネルを用意でき、本当に責任を持って売却活動を行ってくれる仲介業者に依頼したいものです。

専任媒介契約のメリット

専任媒介契約では、窓口が一つになるため、取引が楽になるというのが大きなメリットです。

また売却活動の報告やレインズ(指定流通機構)への登録も必須となっているため、現状を掴みやすく、一般媒介契約と比べて購入希望者を見つけるのが困難というわけでもありません。

また1社のみと契約をしているからこそ、その不動産業者は積極的に買主を探してくれるようになるというメリットも考えられます。加えて専任媒介契約の場合、買主を自身で見つけることもできるようになっており、その場合は仲介手数料をかけずに売却できるのも大きなメリットです。

専任媒介契約のデメリット

1社としか契約できないことがデメリットになる可能性もあります。不動産業者にはそれぞれ得手不得手があり、また担当者の力量もさまざまです。そのため、もしも適切ではない不動産業者を選んでしまった場合、思い通りに売却を進められない可能性があります。

加えて、専任媒介契約は一般媒介契約と異なり、途中で契約形態を変更することが原則できません。そのため、仮に適切ではない不動産業者を選んでしまったとしても、基本的に定められた期間中はその業者に任せるしかないのもデメリットです。

専任媒介契約が向いているケース

信頼できる不動産業者がいたり、売却活動にかかる手間をできるだけ少なくしたい人は、専任媒介契約がおすすめです。

また活動報告を逐一確認したり、現状をしっかり把握したい人も、専任媒介契約が向いています。さらに専任媒介契約の場合、売主をが直接買主を探すこともできますので、自身で買主を見つけられる可能性がある人も、専任媒介契約がおすすめです。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約をさらに強固にした媒介契約です。活動報告が1週間に1回以上となり、レインズ(指定流通機構)への登録も契約締結日の翌日から5日以内に行わなければならないとされています。

その代わり、専任媒介契約の際には可能だった、買主が自身で売主を探すことができなくなります。いわば、特定の不動産業者に完全に売却を一任する形の契約形態と言えるでしょう。

専属専任媒介契約のメリット

基本的なメリットは専任媒介契約と同じですが、専属専任媒介契約の場合は状況報告の密度がさらに濃くなり、より積極的に売却活動を行ってもらえるのが大きなメリットです。

信頼できる不動産業者があり、そこ以外に依頼したりするつもりがない場合は、専任媒介契約にするよりも専属専任媒介契約にしてしまった方が、受けられるメリットは大きくなるでしょう。

専属専任媒介契約のデメリット

デメリットに関しても、基本的には専任媒介契約と同様ですが、専属専任媒介契約の場合は自分自身で買主を探すことができない点に注意しておきましょう。もしも何らかの理由で買主が見つかったとしても、不動産業者を経由して取引を行わなければなりません。

専属専任媒介契約が向いているケース

売却活動の手間を少なくしたり、信頼できる特定の不動産業者が既にある人は、専属専任媒介契約がおすすめです。

また活動報告の頻度も上がるため、より正確に現状を把握しながら売却を進めたいという方にも向いています。加えて、専属専任媒介契約では自身で買主を探すことができないので、最初からそのつもりがないという人も、専属専任媒介契約を選ぶと良いでしょう。

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