断熱材について調べていると「グラスウール」という名前をよく耳にします。
グラスウールは一般的によく使われる断熱材ですが、なぜ様々な断熱材の中から選ばれているかを理解して選んでいる方は、少ないのではないでしょうか。
本記事では、グラスウールの特徴や主なメリット・デメリットについて解説します。
断熱材を選ぶ際の注意点も紹介するので、参考にしてみてください。
断熱材とは、家屋の断熱性を向上させるために外壁や壁や屋根などの内部に設置する建築資材です。
断熱材には繊維系と発泡プラスチック系があり、繊維系はさらに無機繊維系・木質繊維系に分けられます。グラスウールは無機繊維系の断熱材です。
グラスウールは、ガラスを溶かして繊維状にした断熱材です。グラスウールの主な原料は資源ごみとして回収されたリサイクルガラスのため、環境にやさしい素材です。
グラスウールには主に2種類の形状があります。
1つはボードタイプで、名前の通り、板状に型取られており、必要なサイズに加工して使います。
もう一つは吹き込みタイプで、こちらは天井や壁などのスペースに、細かいグラスウールを吹き込んで使用します。
また、10K・16K・24K・32Kなど、繊維の密度=断熱性能の程度による分類も存在し、グラスウールの繊維と繊維の間に空気が含まれることで断熱効果を発揮します。
住宅用の断熱材にはグラスウール以外にも、天然鉱石を線維化したロックウールや発泡プラスチック系のウレタンフォームなど、いくつかの種類があります。
その中で、最も多く使用されている断熱材がグラスウールです。
グラスウールよりも断熱性能が高い断熱材として、発泡プラスチック系のフェノールフォームもあります。
フェノールフォームはグラスウールよりもコストが高いと言われており、グラスウールでも高い断熱効果を期待できるため、一般的にはグラスウールの方がよく使われている傾向です。
断熱性能が優れていることのほかに、グラスウールには次の5つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて以下で解説します。
グラスウールは低コストで高い断熱性能を実現できるため、コストパフォーマンスが高い断熱材です。
グラスウールは発泡プラスチック系の断熱材と比べて材料費が安いだけではありません。
グラスウールを使えば、施工費も抑えることができます。
現場で発泡させるウレタンフォームなどを施工する際には専用の機械が必要です。
一方、グラスウールなら特別な機械を使わずに施工ができます。軽量のため運搬もしやすく、現場で設置場所に合わせてカッターで切断することが可能です。
曲げる加工なども難しくないためにできるため、比較的、低コストで施工が可能です。
グラスウールの大きなメリットは、不燃性のガラスが主原料のため発泡プラスチック系断熱材よりも耐火性が高く、簡単には燃えないことです。
そのため、グラスウールを壁の内部に充填しておくことによって、万が一、火災が発生した場合でも周りに燃え広がるまでの時間を引き延ばすことができます。
また、発泡プラスチック系の断熱材は火災時に人体に危険を及ぼす有毒ガスが発生するケースがあるのに対し、グラスウールは火災時にも有毒ガスが発生しないため、安全性が高いといえます。
グラスウールはガラスを主原料として作られる無機繊維系断熱材のため、木質繊維系断熱材と比較すると、シロアリの被害を受ける可能性は低いです。
また、経年劣化することもほとんどありません。長期間、高い断熱性を保ちやすい点もグラスウールのメリットです。
ただし、温度差などによる結露や湿気などによってグラスウールが水分を含んでしまった場合、重くなることによって下方向にズレ落ちることがあり、それが断熱性能を下げるケースがあります。
グラスウールのメリットとしては人と地球にやさしい素材であることもあげられます。
「国際がん研究機関(IARC)」の実施した「発がん性評価」によると、グラスウールは紅茶やナイロンと同じ「グループ3(ヒトに対して発がん性に分類しない)」とされており、人体への安全性が認められています。
また、リサイクルガラスを使って作られるため、資源を無駄にせず、エコロジカルです。燃やしても有毒ガスが発生しないため、人体や環境に悪影響を及ぼすことがありません。
グラスウールは多孔質材料のため、優れた吸音性を備えています。
グラスウールの断熱材には中音域から高音域まで、幅広い音域の音を吸収する効果があります。
自宅で楽器や歌の練習をしたり、ホームシアターで映画を観たりするなら、吸音性の高いグラスウールの断熱材が適しています。
暮らしの中で生じる様々な騒音を軽減するのに、部屋と部屋の間の壁や床にグラスウールを施工することで、快適な住環境を手に入れることができます。
ただし、他の断熱材にも防音効果はあり、防ぎたい音の内容によって選択するのがよいため、施工会社に相談してみましょう。
ロックウールやセルロースファイバーはグラスウールと同様に、吸音性に優れています。一方、ポリスチレンフォームには遮音性が高いという特長があります。
グラスウールには以下のようなデメリットもあります。
それぞれについて以下で解説します。
グラスウールには湿気に弱いという弱点があります。
グラスウールの断熱性は、繊維と繊維の間に空気を含むことによって断熱効果を発揮するというしくみです。
そのため、温度差による結露や雨漏りなどで濡れて湿気を含んだ場合、断熱性能が低下してしまいます。
グラスウール自体には吸水性はありませんが、繊維の間の空気が保水して水漏れする場合があります。
グラスウールの湿気対策は、施工の際に、防湿フィルムや防水シート、袋詰めなど、防湿防水の対策をしっかりと行うことです。
また吸湿シートを施すことでと結露が発生することを抑えることができます。
グラスウールのもう一つの弱点は、施行に高い技術を必要とすることです。
グラスウールを壁の中に充填する際、すきまなく、かつ、押し込み過ぎて歪みが生じないように、適度にぴったりと詰め込む必要があります。
柱や壁との間にすきまがあると、断熱性能が低下してしまうため、経験豊富で技術の高い施工業者に依頼する必要があります。
リフォームやリノベーションにあたって、断熱材を検討する際の主な注意点は次の2つです。
それぞれについて以下で解説します。
断熱材の厚さが断熱性能の基準とされることもありますが、それだけで判断しないようにしましょう。
なぜなら、グラスウールは製品によって10K・16K・24K・32Kなどがあり、断熱性能は繊維の密度によって異なるからです。
また、グラスウール以外の断熱材もそれぞれ熱伝導率が異なり厚さだけで断熱性能が高いかどうかを判断することはできないため、注意が必要です。
熱の伝わりにくさを表す「熱抵抗値」は地域や住まいによって異なります。
また、どこにどれだけの断熱材を施工する必要があるかは、物件の状態や条件によってさまざまです。
そのため、最適な断熱材の施工をするには、住まいの断熱性能について知識を持っている必要があります。
また、施工技術によっても断熱性能に差が出てしまう場合があるため、経験豊富で技術力が高い、信頼できる施工業者を選ぶことが重要です。
今回は、断熱材グラスウールの特徴や断熱性能について解説しました。納得のいく住まいづくりをするためには、断熱材をはじめ住まいに関するさまざまな知識が必要です。
興味がある方はぜひ、インテリックスにお気軽にお問い合わせください。